カズママは、大好きでかわいいカズ君の子育てに工夫しています。
そして、カズ君が、昨日できなかったことが、今日また一つ、明日一つと、どんどんできるようになっていくのを真近で見ながら、自分の喜びになっています。
目で見て笑った、ママだよ。
寝返りがうてた、ヤッター。
ハイハイができた、ステキ。
つかまり立ちした、イエーイ。
つかまり歩きできた、エクセレント。
一歩歩けたね。最高!
・・・・
毎日が、変化があり、自分の子育ての苦労が報われたようです。
夜眠れない、寝させてもらえない、都合を考えず、泣きじゃくる。泣き止まない。脱稿していないと落ち着かない、食べたものを吐き出す、食べ物で遊びだす、何でも口に入れる、・・・。
こんなわが子に必死に試行錯誤の子育てをしながら、良かったりうまくいかなかったりの毎日なのです。
でも、辛抱できるのは、わが子を大切に思う気持ちと、我が子の成長が見届けることができるからです。
「カズ君のためだから、ママは頑張るよ」
いつも、自分に言い聞かせるカズママです。
「カズ君の笑顔があるから、ママは頑張るの」
ある時、カズママが、カズ君を連れて公園に行きました。同じ年頃のママがいました。
「お子さん、おいくつですか?」
と、尋ねました。
「2歳になったばかりです」
と、そのママは、カズ君を見ながらこたえました。今度は、カズママに聞きました。
「お宅のお子さんは、おいくつですか」
「2歳と5か月です」とカズママはこたえます。
「お宅のお子さんと、うちの子は、ほとんど一緒ですね」
同じぐらいの年頃ということで、ママ同士お互いに気を許して、話しやすくなりました。
ふだん、気になっていること、悩んでいることを話せそうな人だと思いました。
「うちの子は、食べ物の好き嫌いがひどくて、特に野菜がペッて出しちゃって、栄養が偏らないか心配で、どうしていらっしゃいます?」
嘘のない本当の悩みを話しました。
すると、そのママは、
「大変ですね。野菜が食べないのは、栄養が偏りますものね。たとえば、細かく刻んで形がわからないようにしたり、ニンジンやゴボウなどにおいのあるものは、調味料で味付けしたりするとどうかな、よくハンバーグにすると、食べるようになるって言ってるよね」と、真剣に悩みに答えてくれます。
カズママは、いい人と出会った、相談してよかったと思いました。
また、カズママは、話してよかったと思い、その返答に安心でき、うれしい気分になりました。
「ところで、お子さんは、ハンバーグで食べるようになったんですか」
と、今の様子を聞いてみました。
すると、思わぬ答えが返ってきました。
「うちの子は、好き嫌いがなくて、野菜もある程度小さくするだけで、食べてたから、心配はなかったのよ」
子どもの成長や発達が、まちまちな年齢とはいえ、やはり、同じぐらいの年齢は、比べてしまう。
不安になって、ほかのことも聞いてみることにしました。
「お風呂は、静かに入りますか。水は嫌がりませんか」
と、カズ君が、いつも、水を嫌がって、泣き叫ぶ様子を思い浮かべて、話しました。
「いいえ、お風呂は、楽しいみたいですよ」
「自分から、服を脱いで、ママやパパと一緒に入るのを待っているんです」
それを聞いたカズママは、
「うちの子は、同じくらいの子となんか違う、育て方がに問題があるのか、何か足らないことがあるのか、悪いところはどこなのか」
と、別の悩みをもちます。
そんな様子に心配したママは、次のようにはげましたのです。
「何も心配いりませんよ。この時期、発達の具合が子供それぞれだから、早かったり遅かったりで、いずれは同じようになりますよ。うちからみれば、お宅のお子さんは、活発なお子さんでうらやましいですよ。逆に、うちは、おとなしいのが心配なんですよ」
子育てで、大切なのは、うちの子とまわりの子を比べないことです。うちの子は、うちの子だと思いきることです。まわりの子の様子を参考にしてもいいけど、自分の子がまわりの子と比べないことです。
自分の子が、まわりの子より優れていたりできることが多い場合はとてもうれしいでしょう。
そして、喜びも大きいと思います。しかし、この気持ちは、裏返しの気持ちである。他の子より自分の子どもができていないことを悩む原因になるばかりか、できていない自分の子どもへの劣等感にもつながっていきます。
わが子がかわいくて好きであっても、いずれ、「なんで、うちの子はできないのだろう」とマイナスのイメージで、わが子を見るようになり、さらには、ママ自身の子育ての自信にも影響してきます。
「私の育て方が悪かったからかしら」
とママ自身が劣等感に苛まれ、自信を無くすことにもなりかねません。
ましてや、まわりの誰か、たとえば身内である夫、母や義母に言われたら、ショックでしょうね。
「あなたの育て方が悪いからこうなってるんだ」って。これでは、相談できる相手がいなくなってしまいます。
このママ友が親身になってくれているのは、うれしいでしょうが、親身になってくれているママ友のアドバイスを受け取る自分が、受け取る態勢になっていないとしたら、ママも子も不幸です。
どうしたら、いいのでしょうか。
すべて、ありのままの子どもの姿をそのまま受けとめ、まわりの子どもと比べないことです。これは、自信をもってということとは違います。
だから、わざわざ「ほめる」ことをしなくてもいいのです。子育て心理学では、ありのまま、見たまま、見えたことを、そのまま言葉で子どもに言い、伝えることをすすめています。
誰かと比べることなく、お子さんの昨日より今日、さっきより今、できていることを認めてあげることです。お子さんの中で比べてできるようになっているのは成長や発達といいます。
そして、お子さんに聞こえるように、言ってあげる、伝えてあげるのです。
「すごいね」
「りっぱだよ」
「よくできたね」
と言う気持ちを込めて、
見たまま、ありのままのことを伝えるのです。
「すごいね。おかずをもたべるんだ」
(食べているのが野菜でなくても、おかずをつつている行為を伝えるんです)
「すごいね。ころばずに、かけっこできたんだね」
「くつがきちんと脱げたね」
(きちんとそろっている時を見つけてこのように伝えていく)
「ママと競争しようか。脱いでお風呂のカズ君のおもちゃに触った方が勝ちだよ。よーいドン」
「すごい、カズ君は、大人のママと同じぐらいの速さだね」
(ママが負ける必要がない。ギリギリ同じぐらいにするといい。このさい、脱ぎ方は気にしない。あとで修正できます。)
「おもちゃで遊ぶの楽しいね」
(おもちゃで遊ばせておくとよい。)
そのうちに、お風呂は楽しい場所になるでしょう。
あわてずに、ゆっくりできることをふやしていきましょう。
もちろん、ママが、うれしかったり、楽しかったりよろこびを伝えたいときは、アイメッセージで、「ママは、○○がうれしい」って伝えればいいのです。
比べることを教えないと、現在の競争社会に勝てずに、負け犬になってしまうと考える人がいます。
そうではありません。
「比べない」子育ては、大切です。
子どもが、自分自身の成長を、自分の生き方の中で、自分らしさを大事にし、個性を伸ばすことができるようになっていくのです。
人と比べることは、主観であり勝手な思いです。
勝ったり負けたりすることも、自分で、そのまま認めていくことが大事ではないでしょうか。
たとえば、客観的に比べるのは、「競争」です。意に添わなくても、競争に巻き込まれることもあります。
競争に巻き込まれたときには、たんたんと自分を知る機会にすればいいだけのことです。そういうことをママの子育てから学ぶのです。そして、自分らしらを大事にできる芯の強い子供になっていきます。
競争して自分を高めることがあってもいいのです。そして、勝ったときに喜べばいいのです。
しかし、負けた時には、へこまずに、この場合は負けることもあると思えるようになればいいのです。
次は負けないと思ってもいいですし、違うことで勝てばいいことです。
勝ち負けから、わかるのは、自分ができることできそうなこと、できないこと苦手なことです。
できそうなことをもっと伸ばすのか、できないことをできるようにしたいのかは、自分がやると、やれるようになるといいと思うかやってみたいかというフィーリングで決めるのもいいでしょう。
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